FIN
 新年度から須山が所長に、高階は副所長になって新体制で事務所が動き出した。


 新人の弁護士たちも入ってきて、僕や江美が教育係に回る。


 今の若い子たちは抜けてるようで、実際しっかりしていた。


 さすがに侮れないなと思う。


 新米たちの教育をしながら、自分の個室でずっと弁護業務を続ける。


 確かに弁護人というのは大変だ。


 引き受けた案件を順次こなしていく。


 また泊まり込みが続いてしまう。


 四月上旬には東京でも桜が咲いた。


 なかなか見る機会がないのだが、用事があってふっと外出する際に目に留まることがある。


 桃色の花が咲き誇っていた。


 雨や風で散ってしまうまでに時間がある。