「あ、あの、俺は、線香とか買って来ようと思って。」

「あら、タカシとは?」

「あ、いえ、全然知らないんですけど、でも。」

「じゃあ、気にしないで。そうそうカズシはちゃんと教えられてるかしら。」

母親の、笑顔。

柔らかで優しそうな店長と同じ笑顔。

「参考書とか、まだあるのよ。良かったら使ってちょうだい。今晩カズシに電話しておくわ。」

いい人なんだろう、この人は。

きっと。

だって店長の母親なんだから。

あの人を育てた人なんだから。

なのに、

どうしてこの人は。