ナツキがイーゼルを片付け、店に下りて行くのを確かめてから、その場を離れた。

ここで何か理由をつけて、二人だけの時間を邪魔するのは簡単だけど、

それは明日からってことにする。

だって二人はもう、こんな時間を過ごすことはない。

俺が引き裂くから。

だから。

ゲロったおかげで、随分すっきりした俺は、とりあえず、ねーちゃんのアパートまで行き、

部屋に電気がついているのを確認して、

本人に向かっては決して言えない言葉をつぶやいてから家に戻った。