あたしは〝愛〟を知らない。

あたしたちは〝愛〟を知らない。

知りたいとも思わなかった、〝愛〟。

でもこれが、この気持ちが〝愛〟じゃないと言うのなら、あたしは一生〝愛〟なんて知らなくていい。

このまま、蓮と溶け合っていられればいい。

蓮とあたしの〝愛〟を否定されたっていい。

このまま、二人で一つになれるなら。

これがあたしと蓮の〝アイ〟だから。



その日、あたしと蓮は初めて一つになった。

初めて、生まれてきてよかったと思った。

全ての汚点だと思っていた自分が、自分でよかったと思った。

自分という汚点が蓮と出会わせてくれたというなら、その汚点にさえ感謝できる。

あたしは多分、この瞬間、世界で一番幸せになった。