「で?真梨、なんかあったのか?」



隼が真剣な表情になる。獅龍のみんなにも、詳しくは説明していない。

あたしの問題だから……そこまで話す必要もないと思ってる。

もちろん、みんなは大切な仲間だけど。



「ちょっと、辛いことがあっただけ」

「辛いこと?」

「うん。でも、もう大丈夫。隼を見たら、元気になった」



嘘じゃない。

きっと、たくさん辛い思いをしてきた隼の天真爛漫な姿を見ていると、あたしも頑張らなきゃ、って思えてくる。



「ほんと?」

「うん。あたしも……みんなみたいに、強くならなきゃ」



颯だって、実の母親に会いにいった。

タカだって、家族と仲直りできたみたい。

あたしだって……前に進まなきゃ。



その後、お見舞いとして持ってきたシュークリームをみんなで食べた。

隼はとっても喜んでくれて、隼のお父さんは終始穏やかな表情だった。