あの事件から3年が経った。

発見した蓮がうまくやってくれたおかげで、この事件が表沙汰になることはなかった。

俺はタカんとこの病院でしばらくお世話になって、退院した。

親父は仕事があるからと俺より先に無理やり退院したけど、俺が入院している間は毎日夜来てくれて、朝まで一緒にいてくれた。



母さんはその後、精神病院に入ったらしい。

事件後は割と落ち着いていて、親父との離婚もあっさり受け入れたそうだ。



それでも俺の中でこんな状態になったのは親父のせいでもある、という意識が消えなくて、退院した後も反抗的な態度を改めなかった。

獅龍にも入り浸ったし、喧嘩だってした。怪我をして帰ったことだってある。

だけど親父は、あれだけ獅龍に入ったことを怒ったのに、否定しなくなった。怒るどころか、心配していた。



「大丈夫か。怪我してないか」



いつも親父は俺を心配して、そう言っていた。

怪我をして帰ると、丁寧に治療してくれて、



「心配になるから、あんま無茶すんなよ」



と言った。