食欲はないけど、なんとか盛られた分は完食した。



「まだ食うか?」



蓮が意地の悪い顔をする。

食べられるわけないのに。蓮のバカ。



「意地悪」



そう呟くと、蓮は声を出して笑った。





薬を飲んで、熱を測ると裕に38度を超えていた。



「寝れそうか?」



あたしの手を握って言う。



「ん……大丈夫」



さっきまでの悪夢を、もう見ないとは限らない。

怖い気持ちがないわけじゃない。

そんな気持ちを忘れようと、手の温もりを握り返す。

もう片方の手で蓮が頭を撫でてくれて、あたしは穏やかな気持ちで夢へと旅立った。





結局あたしはその後一週間寝込むことになり、学校へ行けるようになる頃には文化祭が目前に迫っていた。