キミがいなくなるその日まで




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次の日、鳥のさえずりしか聞こえない静かな朝。
私はシンが病室に来るのを待っていた。いつも寝てる間に来るみたいだけど今日は早起きしたし。

───ガラッ。

なるべく音をたてないようにしているシンの手が見えた。時間は朝の6時。


『へぇ、いつもこの時間に来るんだ』


わざと嫌味っぽく言うとシンのビクッとした反応が返ってきた。


『わ、マイっ?』

『しーーーっ』


シンの大きな声に私が注意する。

早起きはいい事だけど看護師が来る前に出歩くのは禁止。だからシンがこうして私の病室に居る事がバレたら怒られてしまう。

あれ?でもよく考えたら私は私の病室に居るんだから、怒られるのはシンだけだよね。

なんで私が焦ってんだろう。


『マイがびっくりさせるからでしょ。いつもバレないように気配消してるんだから邪魔しないで』


邪魔しないでって日本語おかしないですか。

ここは私の部屋だよ?私が居るのは当然じゃん。


『今日は逆待ち伏せだよ。はい』


私は用意していたアサガオの折り紙をシンにあげた。しかも調子に乗って5枚も折ってしまった。


『マイが折ったの?本には花の折り方載ってなかったよね?』

『まぁね』

なんて得意気に言ってみる。お母さんに教えてもらった事はいまのところ秘密。