キミがいなくなるその日まで





無言のまま机にシンの部屋から持ってきた折り紙と本を置いた。私は苛立ちを消すように折りかけの折り紙を折りはじめる。

本当は折ってる場合じゃないけど少しでも気が紛れるものが欲しい。



『………マイとお母さんは喧嘩ばっかりね』


お母さんが呟いた言葉に私はピクリと反応した。

喧嘩したくてしてるんじゃない。そう反論しようとしたけどお母さんが悲しい顔をしてたからやめた。



『…………喧嘩するのは言いたい事が言えるからでしょ。私お父さんともカズキとも喧嘩した事ないし』

私はそう言いながらもお母さんの顔は見れなかった。そして話しを付け加える。


『私、シンにも言いたい事が言えるの』


だから駄目だなんて言わないで。


───するとお母さんはゆっくりと私に近づいて、ベッドの横にある小さな椅子に座った。


『この折り紙、シン君に貰ったの?』

『ううん、勝手に持ってきた。なにかすごいの折ってびっくりさせようと思って』


お母さんは私が器用じゃない事を知ってる。案の定私が折った動物はグチャグチャになった。


『お母さんも小さい頃は折り紙ばっかり折ってたのよ。それをお婆ちゃんに見せて誉めてもらえるのが嬉しくてね』


お母さんはオレンジ色の折り紙で紅葉を折ってみせた。