不思議だけどシンに言われるとそうなんじゃないかって思えてくる。


『シン、お願いがあるんだけど』


私はそう言うとシンの言葉を待たずに右手を出した。そしてその手をそっとシンの胸に当てる。

────ドクン、ドクン。


手から伝わる体温と心音。私は目を瞑りながらシンの鼓動を聞いていた。


『…………マイ?』

シンは嫌がらずただ私の行動を受け入れてくれている。私はゆっくりとシンの手を握った。


『シンも聞いて、私の音』


その手を左胸に持っていくとさすがにシンは焦る素振りを見せた。


『マ、マイ……』

『お願い、シンには聞いて欲しいの』


そう強く言うと私の胸からシンの手が離れる事はなかった。

こんな事するなんて自分でも驚いてる。きっと他の人にはしないよ。

シンだから私の鼓動を覚えていて欲しい。


────ドクン、ドクン、ドクン。


いつかこの音が終わる時が来る。

自分の体と一緒に作られた心臓が何よりも早く機能しなくなる時が。

それが明日なのか1年後なのかは分からない。


何度も苦しめられて、それはこれからも続いて、
ずっと憎らしかったはずなのにどうしてか涙が出る。

本当は私と一緒に生まれたこの心臓で生きたかった。

なんで弱いの、なんで駄目なのって繰返しそう思ってた。


私には何も出来ないけど、この鼓動を忘れない。

シンの鼓動も決して忘れない。


絶対に忘れないから。