───────────
──────  



それから私は暫く安静に過ごして普段通りの生活に戻りつつあった。


『今のところ脈も心音を問題ないね。でもまたいつ突発的に発作が起きるか分からないから薬は多めに出しておくよ』

最近風間先生はいつもより長めに私を診察している。私はボタンを一つずつ留めながらある事を聞いた。


『ねぇ、先生前に言ったじゃん?移植をしなかったら私は4年生きられないって』


正確にはどのくらいで死ぬのか聞いて、はっきりと4年以内と言われた。


『それってつまり今回の発作で死ぬ事もあったって事だよね?』


私の中で初めて死が頭を過った。あの奇妙な夢はあの世とこの世の境目だったのかもしれない。


『…………可能性としては、あったと思うよ』


先生の冷静な返答が胸に響く。そしてクルッと私の方に椅子を向けた。


『マイちゃんは移植に前向きではないよね?』


『………え?』


正直びっくりしている。移植をしたくない事はシンにしか話していなかったのに。

すると先生は私の動揺をほぐすようにいつもの笑顔で言った。


『何年マイちゃんを見てきたと思ってるの?』


そうだよね。先生は私の性格をよく理解している。他愛ない雑談の中でも私の変化を見逃す事はない。