キミがいなくなるその日まで





『………ずっと居るの?こっちに』

お父さんとふたりで話すなんて何年振りだろう。
何を話していいのか分からない。

それにお父さん少し痩せた?

料理なんて作れないだろうから普段は何を食べてるんだろ。


『いや、またすぐに戻るよ。急に休みをもらったから1回ぐらいはマイが居る病室を見ておかないとって』


『…………そっか』


お父さんが頑張っているのは私の為。それなのに私はまだお礼の一つも言えていない。

暫く気まずい沈黙が流れた後、お父さんが私に言った。


『病院の中、案内してくれよ』


病室を出てまず向かったのが患者達が集まるロビー。だってお父さんが普段私が行ってる場所を見たいって言うから。


『飲み物はあの自販機で買ってる。でもここで暇潰しする事はないかな。人がたくさん居るの嫌だし』

お父さんは私の横で頷きながら聞いている。


こんなのでいいのかな?案内って言っても私の行動範囲狭いんだけど。


次に連れていったのは売店。

お菓子とかパンとか生活用品とかなんでも売ってるけど私が買うのは雑誌ぐらい。


『この前はここでアイスを買ったよ。カズキが来たから』

でも基本的に必要な物はお母さんが持ってきてくれるから売店でお金を出す事はほとんどない。


『…………後は……』と、私の言葉が詰まった。

私が普段行ってる場所は後ひとつ。ちょっと寒いけどそこだけは外せない。