────コンコンッ。


部屋は302号室。気付くと私はシンの病室の前にいた。


『はい、どうぞ』


ノックをすると扉の向こう側からシンの声が。
なんとなく前回来た時より緊張してるかも。

ガラッと扉を開けると私が声を出す前にシンが反応した。


『マイっ。また来てくれたの?嬉しいな』


シンはベッドに取り付けられたテーブルで何か作業をしていた。よく見るとカラフルな折り紙と動物の折り方と書かれた本。


『ちょっと待って、すぐ片付けるから』

シンがそう言って折り紙に手を伸ばすとバサッ!
と折り紙の束が床に散らばってしまった。

それを拾おうとするシンよりも私の方が早く折り紙に手が届く。


『はい』

拾った折り紙を差し出すとシンは「ありがとう」と受け取った。その時、パジャマの隙間からシンの腕が見えて私はその手を掴む。


『どうしたの、これ』

シンの右腕はパンパンに腫れていてかなりむくんでいた。皮膚は固くてまるで限界まで膨らませた風船のようだ。


『いつもの事だよ。傷みもないし手は動くから問題ないしね』

シンは長袖のパジャマで腕を隠すと不揃いの折り紙を綺麗に整えた。


もしかしてこれも病状の一つ?そんな腕で毎日私に折り紙を折ってくれていたの?


『…………シン、ごめん』

このごめんには沢山の意味がある。


『えーどうしてマイが謝るの?マイらしくないなぁ』


いつものように笑うシンを見ても私の心境は複雑だった。