シンは考えるように無言になった。その沈黙に耐えられず私は慌てて言葉を付け加える。


『だって14歳って一番好奇心旺盛って言うか……ほら、女の子とかにも興味持つ時期でしょ?』

『………』

『例えば誰かと一緒に帰ったり、デートしたり、
手繋いだり、そうゆうのしてみたいとは思わないの?』


単純な疑問。誰だってこの病院生活から抜け出したいと思ってるはず。

でもシンの答えは…………


『考えた事ない。……変かな?』


シンは少し寂しそうな目をした。私は冷静になり静かに首を横に振る。


『ううん、変じゃない。変じゃないけど……』

人によって考え方も違うし、不満も違う。でも私は一刻も早く病院から出たいし自由になりたい。

その気持ちをシンに押し付けるつもりはないけど、言わずにはいられない。


『………でもさ、あんたこのままじゃ何も経験出来ずに死んじゃうかもしれないよ』


人の事を言える立場じゃないけどシンは無垢(むく)で産まれたての赤ちゃんみたい。

だからこそ、それでいいの?って思う。


『経験って……?』


シンの純粋さが突き刺さる。だってみんなが当たり前に通る道が私達には難しい。

外への憧れ。その憧れを抱かないなんて私には出来そうにない。


『例えば女の子とキスしたり、エッチしたり。そうゆう男として経験したい事もこのままじゃ出来なくなっちゃうよ』


こうしている間にも、確実に時間は過ぎている。

時間は無限にはないんだよ。