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『あーもうっ。暫く化粧してなかったから全然ダメだ』


それから私は自由に出掛けられるようになって、
病院では出来なかったオシャレもしてる。


『お姉ちゃん今日診察の日じゃないのに病院に行くの?』


カズキは相変わらずサッカー少年で夏にした日焼けのせいでまだ真っ黒のまま。


『ちょっと、ね』

私は意味深に微笑み、家を出た。

退院しても病院に通ってるのには理由がある。
それは……………


『あっ、マイちゃんっ』

実は私が退院した後すぐに私の病室に15歳の女の子が入った。

診察の時にたまたま会って声を掛けて以来、友達のような関係が続いてる。


『昔のファッション雑誌持ってきてくれたんだ。
ありがとう!病院だと毎日暇で暇で』

この子もオシャレに興味があるみたいで私は来る度に読み終えた雑誌を持ってきている。

入院生活の辛さはよく分かるし、それに……


『ねぇ、302号室の男の子とはどうなったの?』


この子が入院した次の日にシンの病室だった302号室にも新しい患者が入った。

しかもシンと同じ14歳の男の子で最近すごく親しいんだって。


『あーあいつ?年下のくせに生意気だし私の事呼び捨てにするの。しかもお気に入りの屋上に行くと絶対居るしさっ』


この二人の事を聞くのが私の楽しみだったりする。

きっと私達と同じようにこの狭い病院で大切な人を見つけられる人も居るだろう。

何度も言葉を交わして、何度もすれ違って、


きっときっと誰もがかけがえのない人に出逢える瞬間が絶対ある。