「優奈姉?」
名前を呼ばれただけなのに…
体がすくむほどの緊張が走って…
優奈が翔の顔から目を逸らした。
「…違うよ。
やきもち妬く理由なんかないじゃん…
そうじゃなくて、
もしも翔が変な目に遭ったら大変だから…」
「優奈姉」
再び名前を呼ばれて…
優奈がゆっくりと視線を翔へと戻す。
真剣な表情を浮かべていた翔と視線がぶつかって…
翔がいつもの笑顔で笑った。
「おやすみ」
やんちゃな笑顔と一緒にこぼれた言葉に
優奈が少しだけ微笑んだ。
「…おやすみ」
翔が窓を閉めても優奈はその窓を見つめたままだった。
いつもとは違う翔に
男の顔をした翔に…
少しだけ…
胸が高鳴った。
優奈の白い息が
キレイな星空に溶けていく。
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