「おぅらっ!自分の欲しいもんは力ずくで奪んだよ!」


「へいっ、姉貴!」



ある村では、山賊に襲われていた。

彼らの名は<鷹>―――――


この奥州の山のひとつのあたりに縄張りを敷いている。



「おんぎゃー!」


「しっ!」



<鷹>の頭(かしら)がその民家を横切ろうと思ったその時、赤子の声とその母親らしき者の声と何か肌のようなものを叩いた感じがした。




「うるさい子だね、気付かれたら死んでしまうというのに…!」



それは、赤子の母親らしき女の声だった。




「やはり、九人目の子は不吉なことばかりを呼び寄せるのだな…」



今度は男の声だった。

その赤子の父親だろうか。



「………こんな気味の悪い子っ!いっそ殺してしまった方がいいわ!」




――――コロシテシマウ?



<鷹>の頭にそれだけが頭を駆け巡った。


生まれて間もない子を、自らの手で死を与える。



そんなことがあっていいのか?