感想ノート

こんばんは。管理人の鈴木 真也(吸血鬼の「夜」)です。一応、悩み相談のカウンセリングルームの体裁はとりますが、皆さんの想像力で、どんな世界を造っても、結構です。ここでのルールはただ一つ。【皆で仲良く、楽しく遊ぶ事】だけです。そんな訳で、僕もここでは血を吸いません。よろしくお願いします(^_-)☆

  • saoriは夜の吸い込まれそうな瞳を見た。

    そして静かに一度うなずくと、惜しむようにその胸の中へ顔をうずめた。

    「窓を開けば…また会えるのね。」

    それがもう二度と叶わぬ夢だったとしても。saoriにとっては今この瞬間に勝るものはない。

    「夜、ありがとう。」

    さようなら、とは言わなかった。ありがとうという言葉に、全ての想いを込めて。

    夜に抱きしめられて
    再び体が夜空へと浮かび上がる。

    来た時とは反対にsaoriは目を閉じた。

    次に目を開いた時にはもう、夜はいないかもしれない。

    全てが幻のように消えてしまっているかもしれない。

    それでも今は目を閉じていたかった。

    その温もりを、夜の存在を心で感じるために。優しい夢を心に残すために。

    saori@ 2009/07/28 02:32

  • 夜は、saoriのその白い咽を見たものの……
     ……そこには口をつけず、saoriを抱きしめた。

    「……夢だよ、saori。
     僕の存在は……
     いや。
     もしかすると『祠』の存在さえ……
     不安定な人の思考の上に成り立つ、うたかたの夢なのだから」

     そして。

     夜の言葉に、腕の中で何か言いかけるsaoriをそっと放して言った。

    「僕は、吸血鬼だから。
     その美しい首に口づけたならば。
     どうしてもキスだけでは終われない。
     牙を立てずにはいられない。
     だけど……覚えてる?
     僕が『どうやって』血を吸うか?
     僕は、漫画や他の小説に出てくる吸血鬼じゃない。
     saoriのそのキレイな白い喉にただ咬みつけば血が吸えるわけじゃないんだよ……?


     夜は吸血鬼の瞳で妖しく……寂しげにほほ笑んだ。

    「お前は……この。
     本当は、他の誰かに見られているかもしれないこの場所で、僕に抱かれてみたいのかい?
     ……違うでしょう?
     大好きな、愛しいsaori。
     僕もそうやってお前を傷つけ……命を縮めさせたくはないんだよ」

     夜はほほ笑む。

    「僕は、夢だよ。
     窓を(ウィンドゥズ)を開けばいつでも見れて。
     朝になったら消えてしまう夢。
     ……それじゃ、ダメかな?」

    2009/01/16 04:38

  • 電話口から聞こえたのはやかましい声。

    「吸血鬼の取材報告はまだか?!まったくどこで嗅ぎ付けたんだか、今や超有名な吸血鬼の取材をするって情報がバレて奴らのファンからの電話が鳴りっぱなしなんだ!」

    saoriはふぅとため息をついた。

    黙って夜を見つめる。

    そして意を決して電話口にぽつりと呟いた。

    「いなかった。」

    「へ?」

    間抜けな声に、今度ははっきり答える。

    「吸血鬼なんていなかった、ってこと。」

    そこまで言って夜へウインクした。

    相手の応答を待たずに電話を切ったsaoriに、再び静寂が訪れる。

    タイムリミットは近づいていた。
    もう帰らなければならない。
    きっと、もう会えないのだろう。
    漠然とした思いだが、それが真実な気がした。
    明日になれば、全て夢と消えてしまうかもしれない。

    saoriは夜を見上げた。

    「ねぇ、夜。今日の印を頂戴。」

    そして、ぐいと首筋を差し出した。

    「明日、今日の事が夢だったって思わないように。
    夜の印を頂戴。」

    暗闇に浮かび上がる白い首筋。

    振ってくるのは鋭い牙か。

    それとも

    熱い口づけか。

    saoriは震える体を押さえつけるように、ギュッと目を閉じた。

    saori@ 2009/01/07 02:33

  • 頬にかかる冷たい風が、今日は心地よかった。

    冴えた空気が余計星達を輝かせる。

    咄嗟に言葉もでないほどの景色に、saoriはただ、ただ見つめることしかできなかった。

    いつも夜はどんな思いでここにいるのだろう。

    暗闇にうかぶ夜の横顔は、景色に負けず劣らず美しい。

    気がつけばsaoriは夜の手を握っていた。

    どのくらいそうしていただろう。

    ずっとこうしていたい、なんてガラにもなくそう思った矢先。

    saoriのバッグの中で携帯電話が震える音がした。

    夢は必ず終わるものー…。

    無理矢理現実へ引き戻される事を拒んでも、どうしようもない事はわかっていた。

    saoriは静かに通話ボタンを押した。

    saori@ 2009/01/07 02:19

  • 空には、星。

     眼下には夜景。

     上も下も光の粒で囲まれた、幻想的な空間を。

     夜は音も無く。

     力強くsaoriを抱いて、飛ぶ。

     胸に、穏やかなぬくもりを感じながら。

     やがて。

     ネオンの煌めく光の洪水が間近に見える、ビルの屋上に、そっと、夜はsaoriとともに降りたった。

     普段は、立ち入り禁止になっているその場所は静かで、暗く。

     他には、誰の姿も無い。

    「……ついたよ。
     ここは、僕のお気に入りの場所なんだ」

    2008/12/04 14:34

  • saoriはそんな牙王に近寄ると、少しだけためらって、その頬を引き寄せた。

    触れるか触れないか、のキスを頬に落として、「今日はありがとう」と微笑んだ。

    そして残月を振り返り、深く一礼したあと、夜の手を取った。

    ふわり。

    空中に浮く感じがして、saoriは思わず目を固くつぶった。

    冷たい風が頬をなでる。

    感じたことのない、風。

    音。

    匂い…。

    大丈夫だよ、と言うように優しく抱きしめる夜を確認して、そぉっと目を開けると…

    「すごい…。」

    いつも見ている景色は、小さな星となって足下に広がっていた。

    それは今まで見てきた「美しい」という言葉を超えたものだった。

    saori@ 2008/11/26 01:04

  • saoriにみつめられ。

     その、深い瞳に夜は吸い寄せられたように微笑む。

    「いいよ、saori。
     それが、お前の望みなら……叶えてあげる。
     今は、ちょうど。クリスマスの飾りつけが始まった頃だから、街は、キレイだよ。
     天使ではない……
     悪魔のような、黒い皮膜の翼でよかったら」

     それからsaoriの薄いドレスと着ていた上着を眺め。

    「外は寒いから、これを羽織っていこう」

     羽のように軽い銀ぎつねの毛皮のコートを着せかけ。

     saoriをお姫様抱っこに抱えて、夜空へ飛び立つ。

     それを見ながら、牙王がちぇ、とため息。

    「オレにも翼かほしいぜ」

    「牙王に翼が生えても、相当ダイエットしないと飛べません」

     残月が笑う。

    「皇子は細いですが、実際の体重は、見た目の三分の一ぐらいしかありません。
     あまり素早くない私でさえ、半分。
     ヒトに作られ、中身もしっかり詰まっている牙王は……」

    「悪かったな。オレは百キロ超えてるゼ」

     などと、ぶつぶつ言いながら、牙王は、二人を見送った。

    2008/11/14 01:07

  • 思わず目を奪われる光景に、一瞬遅れたsaoriもグラスを口に運ぶ。

    「ねぇ。夜。夜は空を飛べるって…。」

    saoriは不安そうに夜をみた後、確認するように残月をみた。

    あと、一言。それをつなげようとして、躊躇してしまう。

    外見とは裏腹に、少々saoriは気が小さいようだ。

    今、外にでれば、きっと一生に一度の素敵な空に出会える。

    「いつも夜が見ている景色を、私もみてみたい…。」

    saoriは小さく小さく、そう呟いた。

    ありふれた日常が、非日常な世界と変わっていく。

    saoriはそっと夜の袖をつかみ、吸い込まれそうなその瞳を見つめた。

    saori@ 2008/11/12 00:03

  • saoriに、楽譜を貰って、夜は嬉しそうに微笑んだ。

    「ありがとう。
     早速貰って聞いてみるよ。
     レッド・ムーンはとてもいい曲で……僕も何回も聞いているんだ。
     今度の曲がどんなだか……とても楽しみだよ」

     グラスをテーブルに置き、赤い液体を夜が優雅に注ぎいれると。

     残月がこの場にいる全員にワインを配った。

    「乾杯しよう?
     吸血鬼の。
     いや、すべての者の心を打つ。
     声無き歌姫に出会えたコトを感謝して」

     夜が少し持ち上げたグラスに呼応して。

     残月と牙王は、高々と杯をあげ、一気にワインを飲み干した。

    2008/11/05 02:14

  • 「祠さんには秘密にしてたんだけど。もし良かったらあとで祠さんからCDを受け取って聞いてみて?」

    saoriは出来上がったばかりの楽譜を差し出して恥ずかしそうに微笑んだ。

    saori@ 2008/11/04 02:00

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