いつの間にか、あたしの前を歩いていたアイツの背中。 ワイシャツの下に着ている赤のTシャツが、大きな存在感を示してる。 …昔ほど頼りなくはないけど、だらしがない背中だな。 『別にいーよ。』 アイツといるだけで既に、半分くらい幸せ吸い取られてる気がするし。 もはや余計な不幸までも、付けられてそう。 「ふーん?」 アイツが興味をなさそうに欠伸した瞬間、穏やかな風が吹いた。 爽やかな風と共にアイツの髪が持ち上がり、ふいに見えた色っぽい首筋。