『~~っ、離しなさいよ!』 こんなことしてくれるから、あたしはまた、何も言えなくなる。 しばらくは呆然としていたギャラリーは、いつの間にか冷やかしに変わっていて。 顔をゆで卵みたいにさせるあたしは、一生懸命顔を背けて颯から逃げるフリをしたけど。 久しぶりに感じた颯の家の香りに、あたしはギュゥッと、みんなに見えないとこで颯のワイシャツの裾を握りしめていた。