「絶対、奈里ちゃんだけでは死なせない」

耳元で呟かされた意志の強い一言が、必要以上に私の鼓膜を揺さぶる。


目の前にあるのは雲ばかりの青灰色。

夢みたいに爽やかな青色なんて都合よくあるわけがない。

そして自由になるために飛び立とうと思った空も、「地球」という檻に囲まれた世界だということに気付いてしまった。


私たちはきっと、純粋すぎた。
世界に完璧を求めすぎた。

世界は欠けた所のない完璧なものだと信じていたから、裏切られた時にとてつもなく失望した。


世界はこんなに醜くて、こんなに理不尽で、こんなにうっとうしい。


だけど私たちはそれを捨てられないから足掻いて、叫んで、顔を背ける。

誰に嗤われてもきっと、一生そうやって生きていく。