ぐらり
傾きかけた世界が、途中で旋回を止める。
視界の端に映るのは、癪に障るぐらい似合うクリーム色の髪。
「飛び降りは、みんなに迷惑がかかるだけじゃなかったの?」
「最期ぐらい迷惑かけたっていいじゃない」
最期だと思ったから瑞姫にあれほど強気で当たることができた。
ずっと知ってたんでしょう?
だから守ってくれてたんでしょう?
「死にたい」っていう、最高に暗くて魅力的な言葉で。
そうやって常に呟くことで、あなたはいつだって私の自殺願望を抑えつけてくれた。
あなたを一人にしなかったのはあなたを死なせないためじゃない。
私自身を抑制するためだった。
ずっとずっと、あなたを利用することで生きてきたの。