「奈里ちゃん…?」

「どうしたの?電話なんて珍しいね」


だってこうしないと、君は。

「…俺、死にたい…」

情けなく震える声。
喉の奥が焼けただれるみたいに熱く引きつる。

「やめときなって。水死体なんて見れたもんじゃないし、睡眠薬は簡単だけど確実に死ねるかはわからない。飛び降りだってみんなに迷惑かけるだけ。
だから諦めた方が賢明だよ」

「随分、詳しいんだね」

「頼がいっつも死にたいっていうから、説得の方法を考えてるだけ」


「俺、」

そこで、ガチャンという音と共に通話が切れる。

心拍数は上がりっぱなしだ。


俺、知ってるんだ。
本当は――。