だけど瑞姫より何より、今この場でウザいって言えない自分がウザい。 今さらこういう風に作り笑顔で媚びたくないのに。 バカじゃないのって思い切り罵ってやりたいのに。 私は結局、この人が怖くてたまらないんだ。 悪いだなんて彼女はちっとも思ってない。 思ってないから私の前でこんなに笑える。 もう嫌だ、逃げたい。 「奈里ちゃんっ」 慌てた声が聞こえる。 さっき私に向かって近づくなと、話しかけるなと言った時とはまったく違う声が。 なんで私を避けたくせに、そっちは来るの。