近頃の頼はすこぶる機嫌が悪い。

優しい雰囲気なんてどこへやら、ぎらぎら光った獣みたいな目をして周囲にガンを飛ばしている。

唯一の長所が消え失せたものだから、みんなびくびくしながら頼の顔色を窺っている。


こんな状態になってから、頼は私の家にも遊びに来なくなった。

それどころか、俺の家にも来るなと言った。


中学生の時から仲がよかったけど頼から遠ざけられるのは初めてのことで、戸惑いはなかなか隠せそうにない。

「頼、今日は遊ばないの?」

それでも頼を怖がるなんて概念は私にはないから、みんなが青白い顔で私を見つめていてもお構いなく話しかける。

だけど、彼は。


「…奈里ちゃん。今の俺には近づかないで」

はっきり、拒絶の意を示した。
真正面から、目を逸らさずに。