耳にいつまでもこびりついて離れない、砂糖菓子みたいな甘ったるい声。

自分の魅力を最大限に引き出すことを知っている、そんな声。


うっとうしい、と口の中で単語を転がして舌打ちする。

俺は普段苛立ったり、怒ったりはあまりしない。
そうすればエネルギーを消費して自分が疲れるだけだから。


でも、あんなの許せるか。


フラッシュバックするのは、憎悪に濁った透明な涙。

苛立ちに滲んだ心。

優越感に浸る笑顔。


何もかもが腹立だしくて、噛みしめた唇からは薄く血が滲んだ。