奈里ちゃんがきょとんしながら靴紐を結び終わる。

「どしたの頼?なんか今日は…」

「うん、大丈夫だから」


外に出てこようとする奈里ちゃんをぐいぐい押して、玄関の内側で別れを告げる。

怪訝そうなその顔も、何か言いたげなその口もひとまず保留。


絶対に外が見えないように、少しだけ開けたドアの隙間に身を滑りこませるように俺は奈里ちゃんの家を出た。

きっと明日になったらとても追及されるんだろうけど、それどころじゃない。


俺だって早く帰らないと。

じゃないと、



「あれぇ?頼じゃん」

――あぁ、終わった。