「送ってもらったから、私も送っていく!」

帰ろうとした時にあんまり奈里ちゃんが言い張るから、仕方なく送ってもらうことになった。

女の子に送ってもらうって、男としてはかなり情けないと思うんだけどさ。


寝不足の目をしぱしぱさせながら玄関を出て、スニーカーを履く彼女を待つ。

その時――。


「…奈里ちゃん」

「んー?」

靴紐が解けていたらしい。
小さな背中が小さく丸まるようにしゃがみこんで靴紐を結んでいる。

だけどこの時ばかりは、それが好都合だった。

「やっぱりいいや。俺、一人で帰る」

「へ?」

ぽかんと口を開ける彼女。
そりゃあそうだろう。


でも、ダメだよ奈里ちゃん。