「なぁに、奈里ちゃん」 普通の人だったらもっと慌てるんだろうな。 だって友達がすぐ側で熱を出して倒れてるんだから。 「…ただの風邪だから。死なない、から」 そっか。 風邪、だったのか。 つまらないなんて呟けば、君は人でなしと怒るだろう。 でもね、本気で思ったんだよ。 死なないのか、つまらないなって。 「ごめんね」 聞こえないように小さな声で謝ったけれど、彼女には届いてしまったらしい。 ちょっとだけ眉を寄せて、悲しそうな顔で笑ってた。 きっと俺の気持ちもばれているだろう。