「あー…死んじゃいたい」 余計な物がほとんど無い自室で、彼は唐突にそんなことを呟いた。 「それ、何度目よ」 ゲームのコントローラーを握ったまま、私は無感情にそう言う。 あ、ゲームオーバー。 そんな私を横眼で見ながら彼はへらへら笑う。 「奈里(ナリ)ちゃんは冷たいなぁ」 「ちっとも冷たくない。飽きるほど同じセリフを聞けば誰でもそうなるよ」 高校に入る前に思い切って染めた彼のクリーム色の髪が、切なく揺れる。 それがびっくりするほど似合っていて時々癪に障る。