【短編】甘口チョコレート



「…なにそれ?」


日奈が顔を歪めると
上条が目を逸らしながら答える。


「…前の彼女がそう言ったんだよ。

男は電話もメールもするもんじゃないって。

クールでいて欲しいんだって言うから…


…そうなんだろ?」


怪訝そうに表情を歪める上条に
日奈が呆れたように話し出した。


「それは…

その人の考え方であってあたしは上条くんから電話もメールもして欲しいし

わがまま言えばもっと一緒にいて欲しいよ…」


「…まじで?」


驚いた表情で聞いてくる上条に
日奈がこくんと頷く。


頷いた拍子に

まだ頬に残っていた涙が地面に落ちた。


そのまま黙ってしまった上条に
何を言えばいいのか、どうすればいいのかわからずに

日奈が地面に落ちた自分の涙を見つめていた時…


急に影が落ちて

視界を塞がれた。




「…今まで我慢して損した」



そう言った上条の声がすぐ近くから聞こえて…


上条の腕がいつのまにか背中にまわされていて…




日奈を優しく包んでいた。




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