【短編】甘口チョコレート



結局呼び出す事はできなくて…


日奈は上条の部活が終わるのを校門で待っていた。


2月の冷たい風が日奈の体に吹き付ける。



手袋をしていない手は冷え切っていて感覚もなくなっていた。


そんな手を握りしめて

自分の息で暖める。





誰もいない校門で

自分を好きか分からない相手を待ってる自分が…


なんだか急に可哀相に思えてきて…



不意に涙が落ちそうになる。








「…彼女なのに」


必死で抑えた涙の代わりにポツリと言葉が落ちた。





彼女なのになんであたしこんな寒いところで待ってるの?


なんで当たり前にチョコもあげられないの?


なんで…

付き合ってるのにこんな片思いみたいなの…?







なんで


好きって言ってくれないの…?







涙がこらえきれなくなって下まぶたに粒になって止まった時…



「篠原?!」



上条の声がした。




振り向くと大きなスポーツバックを肩から斜め掛けしている上条の姿があって…


日奈が慌てて涙を隠す。



「何やってんだよ、こんな時間まで…

1人でこんなとこいたら危ないだろ?!」


せっかく会えたのに
言われたのはそんな言葉で…


上条の少し強い口調に
引っ込んだ涙が飛び出しそうになる。



「だって…

今日バレンタインデーだから…」


涙を我慢したせいで少し鼻声になった日奈が
寒さでかじかんだ手で

上条にチョコの入った箱を差し出した。



日奈の言葉に上条は少し黙って…

日奈の手からチョコを受け取った。




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