【短編】甘口チョコレート



「おまえ今日もらえた?」


部室で先輩が上条に話しかけた。


そんな先輩の言葉に上条が落ち込んだ表情で答える。


「…20個くらいはもらいました」


「はぁ?!

マジで?


…つぅかそんなもらっといてなんで落ちこんでんだよ」


上条の答えに怒りを露にしながら先輩が怪訝そうに聞く。



理由はひとつ。


今日のバレンタインデー、
日奈からのチョコをもらえなかったからだった。



彼女なのに、学校ではなぜか遠慮して話しかけてこない日奈も
今日だけは話しかけてくると期待してたのに…


そしたら少しでも本音を見せようと思ってたのに…





日奈は上条のクラスにこなかった。



『上条くんが運動やってるところすごくかっこいい』


いつか日奈が電話で言っていた事を思い出しながらも
今日ばかりは部活なんかやってる場合じゃなくて…





カッコわりぃけど…


でも…






上条が適当に嘘をついて部活を早退した。





日奈に会いに行こうと思って…




かっこ悪くてもなんでも…

どうしても顔が見たくて…


笑いかけて欲しくて…




でも…


多分、もうごまかせない。





顔を見たら

声を聞いたら…




多分、本心が出る。







そんな思いに心を揺らしながら上条が校門に近づいた時…


校門に小さな日奈の姿が見えた。




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