「通りたくば、俺様を倒していきな――ぐべっ」


間髪入れずに、冬月の右ストレートが骸骨の眉間に入った。

ヒビは入らなかったものの、オーバーリアクションでノックダウンをする骸骨こと、溝出(みぞいだし)。


「てーっ、ひっでー!んだよ、秋月!少し、遊んだだけじゃねえか!」


「なんやて?もういっぺん言うてみ」


「だから……って、その声、冬月か?ったく、めんどくせえぇぇ。少しは区別つくように工夫――ぐびゃっ」


無意味に頭を踏まれた。


「余計なことを……!僕は兄さんと一心同体なんだ!冬月じゃない秋月とお前が間違えるように!なのに、なのになのになのに……!間違えたままがどれほど僕にとって嬉しいことか。それ即ち、僕はあの兄さんと同一人物になれるのだから」