やり返そうにも本気になれば、冬月を傷つけてしまう。もっとも当人は傷を求めているが、秋月はごめんだ。
奥歯を噛みしめ、あかんなぁと思いつつある秋月の目には――不自然にも止まった冬月の姿。
刀を振り下げる状態で停止している。
「バカ兄弟っ、神社で戦わないでよ!」
振り向けば、腰に手を当ててぷんすかご立腹の依子がいた。
足元には二つ首の蛇。依子の式神の“蛇神”(みずち)だ。
「ああ、助かったわぁ、依子はん」
冬月が止まったのは依子の式神、蛇神の能力。金縛りだ。
息を荒々に、冬月は懸命に動こうとするが、かなしかな、冬月にはどうすることもできなかった。
「兄さんと僕の邪魔をするな、この――」
「はいはい、よそでやってよ。もー」


