双子だからこそ背格好は同じ。そこに同じ着物と狐面と来れば、正に瓜二つだった。


姿見前でうっとりとした冬月は、しばしその姿に酔いしれた。


はっとしたのは十分ほどでだろうか。いかんいかんと首を振り、畳部屋の隅に立て掛けている蜘蛛切を腰にさした。


重みのある刀でも、今となってはないほうが違和感を覚えるほど長い年月を共にした。


襖をあければ、縁側。武家屋敷に相応しい日本庭園が広がる。


今の季節は秋で、松は橙色に枯れ始め、松ぼっくりをこしらえる。


うろこ雲がよく生える天気だ。


日本ならではの美しさが広がるが、冬月は目もくれず、そそくさと長い廊下を歩いた。


足袋が廊下にこすれる。歩幅が限定されてしまうのも着物ならではのこと。舌打ちしたいところだが、兄が着物でいるのだから脱ぐわけにはいかない。