秋月が力を抜けば、冬月が刀を下ろす。
だが、狐面の奥は憎しみに満ちているようだった。
「落ち着きぃ。兄ちゃんに話してみ?なぁ?」
「落ち着いていられないよ!兄さんがそんな女と……!」
「だから落ち着き言うてるさかいに。京都弁剥がれとるよ?兄ちゃん、冬月の京都弁、好きなんやけどなぁ」
「え、好きって……」
蜘蛛切が僅かに震えた。担い手が動揺をしたからだ。
「そ、そんなぁ、好きやなんて……。いくら本当のことでも、照れるわぁ」
えへへ、と喜ぶ冬月に、秋月は分からぬように息をこぼした。
「にしても、どうしてここが分かったん?――ああ、逃げんときぃ、溝出」
聞くまでもなかったとそろそろと逃げようとする溝出を止めた。


