「白々しいぞ」
お前の弁当、最近五品以上おかずが入っているじゃんか。
もやし炒めメインだった空の弁当が豪華。
それってつまり、そういうことじゃね?
アジくんが爽やかな笑顔で詰問を続ける。
確かに、俺の弁当は入学式以降悲惨だった。
鈴理先輩と出会う前の弁当を知っているフライト兄弟だ。
疑問を持って当然だと思う。
はてさてどうしようか。
此処は嘘をついて彼女だというべきか、それとも別の理由付けを探すべきか。
どうしても今、真実を語るのは気乗りがしなかった。
だから正直に言う。
「今は話せないんだ」
ちょっと家庭がゴタついてて、と俺は苦笑いで誤魔化す。
ただいつかは話す機会がくると思う。
その時、話を聞いてやって欲しい。
俺の我が儘な申し出に空気を読んでくれたフライト兄弟は、いつか絶対聞かせろよって明るいノリで返してくれた。
そういうところが二人とも好きなんだよな。助かるよ、二人の明るさ。とても支えになる。
結局俺の秘めている事情は明るみに出なかったけれど、これはその内、表に出るんだろうなって懸念するようになった。
できることなら静かに学院生活を送りたいところだ。
でもそれは俺の私情にしか過ぎない。必ず明るみに出る時が来る。
俺は時折目に付く婚約カップルを見かける度にそれを強く思った。
逃げ場はない。
俺は近いうちにこの事情を二人に明かす時が来る。財閥に片足を突っ込んだ俺のさだめだ。
そういえば最近、鈴理先輩の笑顔を見なくなった気がするけれど、彼女は笑っているだろうか?
せめて大雅先輩の前では笑っていて欲しい。
切な気持ちを抱く俺がいた。



