前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



「白々しいぞ」


お前の弁当、最近五品以上おかずが入っているじゃんか。

もやし炒めメインだった空の弁当が豪華。


それってつまり、そういうことじゃね?

アジくんが爽やかな笑顔で詰問を続ける。


確かに、俺の弁当は入学式以降悲惨だった。

鈴理先輩と出会う前の弁当を知っているフライト兄弟だ。
疑問を持って当然だと思う。


はてさてどうしようか。

此処は嘘をついて彼女だというべきか、それとも別の理由付けを探すべきか。

どうしても今、真実を語るのは気乗りがしなかった。


だから正直に言う。

「今は話せないんだ」

ちょっと家庭がゴタついてて、と俺は苦笑いで誤魔化す。

ただいつかは話す機会がくると思う。
その時、話を聞いてやって欲しい。

俺の我が儘な申し出に空気を読んでくれたフライト兄弟は、いつか絶対聞かせろよって明るいノリで返してくれた。

そういうところが二人とも好きなんだよな。助かるよ、二人の明るさ。とても支えになる。
 
 
結局俺の秘めている事情は明るみに出なかったけれど、これはその内、表に出るんだろうなって懸念するようになった。

できることなら静かに学院生活を送りたいところだ。

でもそれは俺の私情にしか過ぎない。必ず明るみに出る時が来る。

俺は時折目に付く婚約カップルを見かける度にそれを強く思った。


逃げ場はない。


俺は近いうちにこの事情を二人に明かす時が来る。財閥に片足を突っ込んだ俺のさだめだ。


そういえば最近、鈴理先輩の笑顔を見なくなった気がするけれど、彼女は笑っているだろうか?

せめて大雅先輩の前では笑っていて欲しい。

切な気持ちを抱く俺がいた。