そしたら宇津木先輩が不自然に流れを腐に持っていった。
あそこにイケた男の子がいる、大雅さんと合いそう。キャピ。みたいな発言を放って流れをうやむやにした。
しかも過度に大雅先輩がそれに便乗するわけだ。
「俺があんな平凡野郎と合うわけねぇだろ」
もっと自分に合った奴を探してくれ、とか言うんだ。らしくない。
宇津木ワールドを展開されたら大抵否定から入るのに。
んで、川島先輩が宇津木ワールドをもっと広げようと話題を出して鈴理先輩に吹っ掛ける。
妙な連係プレイだ。
一応俺も便乗はしたけど、過剰なまで“忙しい話題”から遠ざけようとした先輩達に言い知れぬ不安を抱く。
やっぱり変だ。
鈴理先輩も大雅先輩もみんな、何かを隠している。
俺もそこまで鈍感じゃない。
表向きはノーテンキに過ごしているけど、内心じゃある一つの結論に達していた。
川島先輩も宇津木先輩も二人の“多忙”な理由を知っているんじゃないか。
そしてそれは俺に決して言ってはいけない内容なんじゃないか、と。
あの連係プレイを見ていたら思わざるを得ないんだ。
鈴理先輩達は俺に何か隠している気がする。重大な何かを。
もう少し先輩達を観察したかったけど昼食が終わると、鈴理先輩が俺を呼び出して来た。
話をしたいらしい。
いつものあたし様口調で中庭に行こうと言って来た。
「久々にラブラブしてこい」
なーんて大雅先輩に茶化されたし、他の先輩にも笑われたけど、俺は完全に疑心暗鬼になっていた。
取り敢えず、先輩方の茶化しは受け流して、俺は彼女と一緒に中庭へ。
そこでもしかしたら大切な話をしてくれるのかなぁって期待したけど、人気のない木陰に辿り着いた鈴理先輩は何をするわけでもなくそこに腰を下ろして俺に抱きついてきた。
「先輩?」甘えてくる先輩の体を受け止めると、「充電が切れた」あたしは死にそうだと肩口に顔を埋めてくる。
本当に疲労しているみたいだったから、頭を撫でて慰めてあげた。
そしたら先輩、「そんなんで足りるかぁあ!」絶叫と共に俺のシャツに手を掛けてくる。さすがの俺もギョッと驚いて全力死守する。