パタンとドアの閉まる音がして、私はフラフラと廊下を歩く。



…たっくんは、時々よく分からなくなる。
普段は優しい王子様みたいな人なのに、時々すごく妖艶な笑みを浮かべる。
…ホントによく分かんない人。






「…どーしたの?」

廊下でぼんやりしていると、後ろから単調な声が聞こえた。


「…夕都君、おかえりなさい。なんでもないよ。」

振り向くと、そこには帰ってきた夕都君が立っていた。




「…顔、赤い。熱?」

夕都君はそう言うと、いきなり顔を近付けてきた。



「…え!?ちょ、夕都君!?」


動揺する私をよそに、夕都君はおでこをくっつけた。

…近い!
キス出来そうなほど近い距離に、私は無意識のうちに息を止めてしまう。

ドキドキの相乗効果で息苦しさがMAXになった頃。




「…少しだけ熱い。しっかり休んで。」

夕都君はそれだけ言うと、自分の部屋へと戻っていった。





ぷはっと止めていた息をつく。
…ホントにここにいちゃ、心臓いくつあっても足んないよ!!