棗さんと話ながら二人で遥季を目で追っていると、遥季がトレーをもって帰ってきた。
そして、私達がいるテーブルまで来ると、遥季はピタリと動きを止める。
「…遥季?」
「陽依お嬢様、今日のアフタヌーンティーのお供はオペラ・オ・ショコラでございます。」
恭しく一礼して、流れるような所作で私の前にケーキを置く遥季。
遥季のスーツはダンヒルの、紺色のスリーピースで。
…まるで、本物の執事だった。
「…なーんてな?」
私が固まっているのを見て心底楽しそうに笑うと、遥季は満足そうに私の隣に座った。
まさか、さっき注文する前ににやついてたのって、これを思いついたから…!?
「〜〜〜っ、」
「今の見た!?あの人かなりかっこいいし、動き綺麗だし!!本物の執事なのかな!?」
「私思わずときめいちゃったよ〜っ!」
私の声にならない声と同時に、まわりからは黄色い声が上がる。
…そんなまわりにはお構い無く、遥季は本当に美味しそうにケーキを頬張っていた。

