「…ん、んまい!」
「…遥季!?」
瞬間、少し戸惑ったように棗さんが声を上げた。
「え、はるき…?」
振り返った先には、私が持っていたフォークを咥えた、スーツ姿の遥季がいた。
「なんでここに…?」
ぽかんとしながら私が尋ねると、遥季は口をもぐもぐさせたまま前のビルを指差した。
「ここ、ウチんとこの会社の取引先でさ。会合があったんだよ。その帰りに偶然見つけて、いーもん食ってんなぁって!」
もう一度うまい、と笑顔で言いながら、遥季は私の隣に座った。
「…はぁ。これでなんか買ってきたら?今日は奢ってやるよ、特別に。」
棗さんが遥季にバーバリーの財布を手渡した。
「マジ!?やった、ここのケーキずっと食いたかったんだよな!ありがとな棗!」
思わぬご褒美に、遥季はルンルンで注文しに行った。

