棗さんが暗証番号を押すと、自動ドアが開く。
中は人がいないらしく、しんと静まり返っていた。
綺麗に磨かれた床に、コツコツと私と棗さんの靴音が響く。
「…わ、綺麗…!!」
壁にかけられているパネルに、思わず私は声を上げる。
雫の玉がのっかった朝顔の写真、星空と一緒にうつる噴水の水しぶき…
やっぱり、棗さんの写真はぜんぶ素敵だ。
「…ふ、やっぱりそういう反応すると思った。」
棗さんが可笑しそうに口角をあげる。
「…っ…。」
年齢は一つしか変わらないのに、なんだかコドモ扱いされた気がして、ぷいっとそっぽを向いてみる。
「…。」
棗さんがなんにも言わないから、チラリと棗さんを盗み見ると…
凄く優しい瞳で私を見ていたから、私はまた、視線をピカピカの床へと落としてしまった…。

