「……─。」
入道雲が、オレンジ色に染まる。
蝉が名残惜しそうに鳴く。
私は一人、東屋のベンチにいた。
みんなに手紙を渡したあと、みんな手紙に釘付けだったから、一人、そっとリビングを出てきた。
…どんなに私が近づきたい、と願っても、秘密を知ったとしても、やっぱり私とみんなの中には相容れない部分があるのも事実で。
…釉梨さんの手紙は、私が見てはいけない、神聖で繊細なもののように感じた。
ベンチの上に三角座りをして、足に顔をうずめる。
東屋も微かなオレンジ色の光に照らされていた。
私はなにをするでもなく、ただ、蝉の鳴き声と時々吹く風の音に耳をすましていた。

