「…樹さん、大事なことに気付かせてくれてありがとうございます。」
涙を拭いて、私はまっすぐに樹さんを見た。
…やっぱり、樹さんは大人だ。
私に、大事なことをちゃんと教えてくれる。
「僕は陽依ちゃんと食事に来ただけだよ。」
金色の液体が入ったグラスを傾けながら、樹さんは大人に微笑んだ。
「さ、そろそろ帰ろっか。子供な王子達がご立腹だし。」
樹さんがスマホをちらりと見ながら、少し困ったように笑う。
意味がイマイチ分かんなくて首をかしげると、樹さんは着信履歴を見せてくれた。
「…あ。」
着信履歴には、拓海、遥季、竜太郎、拓海、棗、夕都…の文字。
たっくんなんて2回もかけてきてるし。
思わず、樹さんと顔を見合わせて笑ってしまった。

