「陽依ちゃん。」 ごはんを食べていると、樹さんが小声で話しかけてきた。 「はい。」 「拓海も竜も…あんなだけど、陽依ちゃんのこと本気で心配してたよ。…きっと、『陽依ちゃん』が大切なんだね。」 そう言って、樹さんは優しく私に微笑んだ。 『私』が大切… その言葉に、思わず涙腺が緩みそうになって、私はあわててダージリンの紅茶を飲み干した…──。