ブーッ
しばらくして、車が派手なクラクションと水しぶきをあげて走り去った瞬間、私はバッと棗さんの腕を振り払った。
「ひよ…」
「ごめんなさい。…ちゃんと寮に戻りますから。」
棗さんの言葉を遮って、私は先に歩き出した。
…ダメだ。
今棗さんといると、自分が何を口走るか分からない。
今の私はボロボロだから…
きっと、楽で優しい方に流されちゃう。
こんな気持ちで、棗さんといちゃダメだ…。
どしゃ降りの雨の中、私は必死に足を進めた。
すべてを振り払うように、すべてを忘れるように。
…だけど結局、私は自分のことしか考えられなくて。
そんなの、私の自己満足でしかなかったのに──…

