階段を降りてきた男の人は、私に視線を注いですっと目を細めた。


「はじめまして。拓海です。よろしくね!」

にこりと笑う拓海さんは、すごく綺麗な人だった。




「あっはじめまして!音宮陽依です。」

拓海さんにしばらく見惚れてしまってから、私はあわてて挨拶を返した。




「…で、荷物ってどれ?」


「これとこれ。陽依ちゃんのだから大事に扱ってね。」

千尋先生が拓海さんにてきぱきと指示してくれる。




「…え?陽依ちゃんのって…。」

少し驚いたように、拓海さんは私に視線を戻す。



「…校長の指示よ。まったく、あの人も何考えてんのか分かんないわ。」



千尋先生が少しだけ眉の間にしわをよせて呟くように言った。