SecretⅣ
『私』という存在

1.「『君』が大切」





「…ホントに大丈夫?」

「…はい!大丈夫です!」



昨日、改めてS寮の『秘密』を知って…
そして、棗さんから思いもよらない告白をされ…
案の定、一睡も出来なかった。



朝、樹さんが心配そうに私の背中を見つめる視線を感じながらも、私はローファーを履いて樹さんに笑顔を向けた。


「…いってきます!」




…みんなに心配かけたくないし、きっとみんな私以上に辛かったはずだよね。
だったらへこんでばかりいられない。


そう思って、みんなより少し遅刻しちゃったけど、私は学園の校門をくぐった。