「…ありがとうございます、棗さん。」
顔を見上げてお礼を言うと、棗さんは照れたように視線をそらす。
そんな棗さんをほほえましい気持ちで見ながら、私はダンスを楽しんだ。
「…どうやら、俺の他にも相手してほしいヤツがいるみたい。」
しばらく踊っていると、棗さんが視線を上げて辺りを見て言った。
「…え?」
首をかしげて棗さんの視線の先を見ると、そこには竜君がいた。
「…ふっ。竜太郎、絶対拗ねてんだよ。相手してやって。」
そう言って面白そうに笑うと、棗さんは私を竜君の元へとリードしてくれた。
「ほら竜太郎、お姫様、貸してやるよ。」
棗さんがスッと私の手を離すと同時に、竜君にそう言った。
「ひよりんは棗のモンちゃうわ!なぁひよりん!!」
「え…うん、まぁ。」
…どう答えていいのやら。
私は曖昧に笑って返す。
「じゃあひよりん、よろしくお願いします!」
そう言ってニカッと笑うと、竜君は私の手を取った。

